2012年1月19日木曜日

仲間と楽しく ~農業の良さ Part2~

約2ヶ月ぶりのブログ更新。ご迷惑をおかけしました。
冬に入って、鮎河は寒い寒い寒い。今年は雪が多くないらしいんやけど、東京もんとしては辛い。鮎河に今から永住するのはきついなあと思う一番の理由は、この寒さ。やっぱりあったかいとこに住みたいよね。

とにかく季節がら農作業などほとんどないわけで、ぼくの体も頭もなまってる。
なにかしら作業はあるだろうと踏んでいたが、漬け物や味噌づくりくらいでほんとに何もやることがない。
ぼく自身もなんか物足りなさを感じているところであるが、もし専業農家だったらこの季節はほとんどオフに近いのかなあなんて思ったり。常に安定して収入が入ってくるわけじゃないのが難しいよね、農業は。

昨年part1を書いて終わっていた農業の良さの紹介。
ずっとpart2を書こう書こう思ってたけど手をつけられてなかったので、ようやくといったところだ。
前回は、農業を一人でやるものとしての良さ、まあ別に一人に限定したわけじゃないけど、農作業そのものの良さを紹介した。今回は、まだ良さとしては全然実現していないこと、仲間とやる農業についてちょっと書きたい。


まず農業って、どんなイメージがあるんだろう?
一人孤独に作業をするイメージか、それとも隣のおっさんと会話しながら楽しくやってるイメージか。
どちらのイメージにしても、責任を負うのは結局自分一人という意味で同じ。つまり、みんながみんな個人事業主というイメージなのだ。
イメージにとどまらず、これは現実そのとおり。最近は農業への企業参入も叫ばれ始めているが、土地をそう簡単に手放してくれるわけもなく、まだまだほとんどが個人経営という実態だ。個人と言っても家族で協力してやっているケースが多いが、常に共同で作業ができるわけでもないだろう。今の農業に「仲間」「チーム」のようなイメージは全く当てはまらない。

こんな中、鮎河の農事組合法人「すごいえぇのう鮎河」は、チームとして農業をやっている数少ない例だ。数少ないと言っても今や農事組合法人は全国各地に存在しているわけだが、農業全体から見たときに数少ないチームとしての営農組織であろう。
うちの組合は、皆平日はそれぞれの専業があるため、基本的に土日だけの共同作業である。農業において週末しか作業ができないというのはそもそも致命的な部分もあるが、どうしてもやらなければならないことは有志で平日に作業を行ってなんとか補っている。

チームとして、つまり一企業として何かを行う際に大事なのは、理念の共有だ。なんのために作業をしているの?これが曖昧なままだと構成員の士気は上がらない。
うちの場合は、「郷土愛」。なんとも抽象的かつ共有しづらいテーマだけど、この鮎河という地を守っていこうというスローガンのもと活動している。ご察しの通り、この理念ではなかなか結束力は生まれない。現に、作業に積極的に参加する人はほんの一握りというのが現実。これはうちの永遠の課題だ。
そんな曖昧な理念を設けるから悪いんだという人もいるだろうが、たとえば企業のように利益を追求することを第一としたらどうだろう?たぶん、全然集まってこない。なぜなら、組合員はみんな本業で十分生活ができているからだ。休日返上までしてさらに稼ごうと思う人はそういないだろう。

そう、休日返上してまで作業に出てきてもらうハードルは高い。そこまでするならもうやめてしまえばいいのにと思うが、それを思いとどまらせるのはやはり、「郷土愛」なんだ。自分が育った村が雑草ぼうぼうの荒れ地になることはどうしても耐えられないという気持ち。(ちょっとネガティブだけど。。)良く言えば、鮎河を守っていきたいと言う気持ち。

なんだかんだ集落営農は郷土愛が根本にないといけないのはわかってもらえたと思うけど、持続的にやっていくためにはやはり楽しくないといけない。楽しくないと。
そうだ、今回は共同作業のどのへんが楽しいか書くんだった。


農業と一言で言っても、いろんな仕事がある。機械操作、力仕事、機械整備、各種計算。農業は体力勝負と思われがちだが、いろんな能力が要求される。ぼくもこっちに来て、力だけじゃなく、いろんな能力が足りないと痛感させられている。
たとえば、異変に気付く能力。作物の生育があんまり良くないとか、機械から変な音がするとか、肥料がちきんと落ちていないとか。常に気を配っていなきゃいけない。ぼくは常々ぼーっとしている性格で、全然ダメダメ。ひ弱な体よりも、注意力のなさの方が致命的だと思っているくらい。

これだけたくさん能力が問われるということは、それぞれ得意としてる人がいるということ。うちの組合はまだ能力で仕事を振っているというよりは、みんなで同じ作業もしくは年功で決める慣習が強いが、それでも各々得意分野で力を発揮している様子は見える。やっぱり好きで得意な仕事は楽しいもんだ。野菜が好きな人、機械乗るのが好きな人、機械いじくるのが得意な人、力仕事が得意な人。自分がやりたいことをやらせてもらえないことも多々あるが、傍から見ててみんなやりたいことをやっている気がする。

同じ作業を1人より2人でやった方が効率が2倍以上あがるのは農業では当たり前。だから、うちの組合でもみんなばらばらの作業をすることはない。必ず2人以上でやっている。当たり前のようにやっているが、でもそんな当たり前じゃなくて、ずっとそうやってきた結果だろう。
必ず誰かと作業をすることで、必然的に会話が生まれる。なんか仕事って私語厳禁なことが多いけど、農業はそんなの関係ない。むしろ私語歓迎。しゃべってたらいつのまにか作業が終わっているというのがいい。作業に集中していようが会話に集中していようが作業の出来はそんなに変わらないから、許されるわけ。それはやっぱり甘いのかな?でもそういうもんだとも思ってしまう。


なんかぐだぐだ書いてきたけど、ほんと仲間がいたらほんとに農業って楽しい。もっとたくさん仲間がいて、ぼくにとってはもっと若い仲間がいたら、就農してもいいと思ってしまうくらい。裏を返せば、まだまだ仲間がいない、仲間と共に農業するという感覚が薄い現状があるから、就農する人が少ないんじゃないかと思う。だって、農業ほど同じ方向を向いて近い距離で協力してやる仕事ってないんじゃないかな?

農業はどうしても土地がからんでくるから、なかなかみんなの共有にするにも手間がかかる。集落営農ですら簡単に土地の集約ができない現状で、外部の企業が進出することなど毛頭不可能に近い。でもいつか、地元民、部外者関係なく、共同で農業するようになればいいなと心から願う。願うだけじゃなく、実現するために鮎河を拠点にずっと活動していこうと思う。

仲間と楽しく。

当たり前のようだけど、まだ当たり前じゃない、このもどかしさ。
若者の共同営農をいつか実現したいなあ。

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