2011年11月23日水曜日

ヒトとして自律して自由に生きる ~農業の良さ Part1~

   
これまでのブログを見返すと、なんとも報告日記のようなものばかりで、恥ずかしい限り。
まあ記録として残すことは重要だし、多くの人に自分の活動を知ってもらうにはありのままの事実を写真を多用しながら伝えることが効果的ではあるけども、やっぱりもっと示唆に富むというのか、うんうん考えていることを言葉にしたいよね。

と思って、今日はじっくり書く。農業の良さについて。
百姓という職業の良さといってもいいかな。
今回はPart1ということで、第一のポイントだけね。


鮎河に来てずっと思ってたことだけど、農業って本当に特殊な、というよりは基本だ。
世間にはいろんな仕事があって、○○業という枠におさまらない仕事がどんどん増えているけど、その中で農業は他のいかなる仕事とも相容れない特徴を持ってる。


どういう点でそう言えるのか、ちょっと整理してみる。


●食糧を生み出す

まずなにより、農業では食糧を生産するということがポイント。
食糧は、生きるのに必要不可欠。誰しも、食べないでは生きてはいけない。
逆にいえば、食べる物があれば、なんとか生きていける。

そもそも人はなんのために生きているのかっていう話がよくあるけど、
ぼくは「生きるために生きている」というのが正しいと思っている。
他の生き物も同じだけど、生きること自体に価値があると思う。
ちなみに、人間以外の生き物は自殺をしない。そういう意味で、人間より尊い。

脱線したけど、生きることに価値があるなら、それに必要な食べ物にも比類ない価値がある。
それを生み出す百姓という身は本当に尊いと思う。

元来、ヒトは皆農業や狩猟をして暮らしていた。
それは言うまでもなく、食べて生きて行くためだ。
それが、「ヒト」ではなく「人間」として社会というものを形成するようになってから、
支配者が登場し、役割分担が行われるようになり、農業に携わらなくても食べていける人が増えた。
そして今では、日本の農業従事者の比率は約2%だ。

それだけ農業生産性があがったとも言えるわけだが、やはり農業に携わらない人間としては、自分は食べ物をつくるのを他の人にお願いしているという気持ちを忘れてはいけない。
自分は農業のスキルがないから、他のところで価値を提供して食べ物をいただいていると。
こう書くと、なにかの宗教じみているように聞こえるし、これだけ社会が高度に(?)なったいまでは古い考え方だと思われるかもしれない。

でもぼくは、やっぱり農業が生きる上で基本なんじゃないかなあと、こっちに来て強く思う。


●自然と向き合う

農業は、良くも悪くも自然との闘いだ。
天気、害虫、獣害..... どちかかと言うと、自然と協力するというよりは闘っている。
実際はもちろん、自然のおかげで美味しい作物が獲れるわけで、だからこそ神様にお祈りをする。

自然と協力して仕事をすることは容易ではない。
体力的にも、精神的にも、なんだかんだやっぱりえらい。
都会の満員電車やデスクワークも違った疲れがあるけど、農業は普通に疲れる笑

けど、自然と向き合っての作業はなんだか心地よい。
簡単に言うと、「生きてる」って感じがする。
それも、「人間」としてではなく、「ヒト」として生きてるって感じ。
一生物としてこの地球で生きてるって感じ。


●自由に時間を使える

農業は時間に縛られない。わけではない、正確に言うと。
なるべく天気のいいとき、あったかいときに作業をしなきゃやってらんないわけで。
でも都会みたいに何時に待ち合わせで何分以内にプレゼンしてみたいな細かい制約はない。
そして個人営農の場合は、なにをするにも自分次第だ。

だから、時間に追われるという感覚はほとんどない。
やばい、暗くなる前に終わらせな、っていう焦りはあるけど笑
それも自然との闘いでまたいいではないか。
とにかく、なんとなくゆったりした時間感覚になる。


以上3点を見てみると、
農業は、「ヒトとして自律して自由に生きる」最高の形やと思う。

もちろん、鮎河には専業農家はおらず、週末を中心に少しばかり農業しているだけだ。
それでも、一人で畑仕事をしているときは、だれしも「ヒトとして自律して自由に生きている」感覚があるんやなかろうか。

もちろん、みんなで作業するのも楽しい。
だからこそ営農組合は耕作放棄地をすべて引き受けてこられたわけだ。
農業にも人間同士の関わり合いはあり、社会がある。
けど、農業そのものを考えるとき、その一番の良さは、「ヒトとして自律して自由に生きる」ことができるということではなかろうか。


鮎河に来てまだ2カ月半しかたっていないが、漠然とこんなことを考えている。
鮎河を去っても、一人でも農業は続けたいなあと思う。

次回はPart2ということで、さっきちょっと触れた人間同士のかかわりの部分の良さを書きたい。

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